はるちは 前日談

春香はとあるレコーディングスタジオのトイレに腰をおろし、ふと思い出す。
(そういえば、ここは千早ちゃんとの……)
初めて会った場所、ではない。
春香が千早に、初めて劣情を覚えた場所である。

今や天海春香と如月千早といえば、全国区に名の知れた仲良しアイドルユニットだ。
元々同じプロダクションで活動していた2人は友人であったのだが
あることを切っ掛けに、肉体的な関係に――ごくごくアブノーマルな――
平たく言えばスカトロジーの趣味を共有する間柄になっていた。

最初にその道を走り出したのは春香の側である。
そして何故そんな趣味を持つに至ったか。それはこのトイレに理由があった。

奇しくもちょうど1年前の同月、765プロダクションではある企画が立ちあがっていた。
プロダクションに所属するアイドルたちの参加するカバーアルバムの制作である。
その時使われたレコーディングスタジオがここであったのだが、事件はその休憩時間中に起こった。

尿意をおぼえた春香は個室の扉を閉め、いつもと同じようにスカートのファスナーを開ける。
そして下着に手をかけた時、その動きがぴくりと止まった。
「ここって……ちょっと前に、トイレに盗撮カメラが見つかったらしいのよ。
 春香もトイレに行くときは注意してね」
先輩アイドルである秋月律子から、そう忠告を受けたことを思い出したのである。

もしも春香ほどのアイドルのトイレ盗撮映像などが流出したとなれば、芸能人生命はおしまいだ。
噂話に明るい先輩に感謝しつつ、個室内をくまなく点検していく。
汚物入れには何もない。天井?壁に穴が?そこも大丈夫。便器もパイプもタンクにも何もない。
安心して再び下着を下ろそうとするが、まだ一箇所見ていない場所があった。

壁の下にある隙間である。
もしこんな所にカメラがあったら、局部から排泄物まで何もかもが丸見えだ。
すんでのところで思いついた春香は身をかがめ、個室の壁の下をのぞき込んだ。

が、春香はそこで思いもよらぬものを発見してしまった。
それはカメラではなく、他人の尻。
(うっ、うわわわわっ!!)
しかも下半身に身につけているものからすると、同僚の如月千早ではないか。

春香の入った個室は洋式便器だが、となりは和式である。
洋式全盛のこの時代ではあるが、今でも和式便器を好んで選ぶ者は多い。
いわく、顔も知らぬ他人と同じ便器に素肌をつけて用を足すなんて不潔だ――
いかにも潔癖な千早の言いそうな台詞である。

いまや春香の目前には、千早の肛門がどんと構えられている。
だが春香はすぐに立ち上がることができなかった。
(あの千早ちゃんのうんちしてるところ……)
そう思うと、なぜかこの状況に酷く好奇心を刺激されるのだった。

と、千早の肛門がヒクヒクと動いた。
春香が身構えると同時に、茶色い物体が穴を突き破って現れた。
(うわ、エグい……)
目を真ん丸に見開いたまま、春香は自分の顔が真っ赤に染まるのを自覚した。

「んッ……んうっ」
声。
あの千早がこんな恥ずかしい声を出して、目の前で糞をひり出している――
向こうの個室では、なんのことはない日常のひとコマである。
だが壁を一枚挟んだ春香のいる側では、全てが異常だった。

友達の秘密。絶対に見られたくない恥ずかしいところ。
目を開けば全てが見えてしまうこの状況に、春香はただ身体を動かすことができずにいた。
あるのはただ頭が破裂しそうなほどの興奮と、のぞきを行っているという罪悪感。

みちみちっ、という音とともに、糞の固い部分が千早の肛門を通過しようとしている。
こんなに人間の肛門は広がるのか、と関心するほどの大きさのそれが便器にボトリと落ちた。
あとは、濁流であった。
先程よりも黄色みのある柔らかい糞が、踏みつけられたマヨネーズのように勢い良く飛び出した。
時折ブボッ、ブボッと空気の漏れ出る音が聞こえる。
便器に溜まった水がそれらを受け止めて跳ねる音まで、春香の耳は残らず聞きとってしまう。
あるときは林檎の皮のように長く、あるときは兎のそれのように短い糞がボトボトと垂れ流された。

そして突然訪れた臭気。
臭い!まさか人の糞をこんなに間近にするのは生まれて初めてである。
春香は思わず顔をゆがめるが、しかし鼻はむしろその臭気を好むかのように研ぎ澄まされた。

事実、春香はそれを不快には思わなかった。
ただ女目にも麗しい如月千早から、こんなに臭いものが出てきたことに興奮した。

千早の手元からペーパーを巻き取る音が聞こえた。用が終わったのだ。
肛門に手が伸びる。腰を少し浮かべた際に、可憐といえるほどピンク色の性器が見えた。
後ろから眺めると、左右のびらびらが垂れ下がる様が観察できる。
その両脇に生える陰毛はストレートで、細い。くせっ毛で太い、春香の陰毛とは真逆だった。
千早の性器を眺めながら、春香は股間に熱いものをおぼえた。
そこで初めて、この興奮が性的なものだと理解したのである。

(もうダメ……我慢、できない)
その右手が下着の裾に侵入した瞬間、

「千早ーー!!いるかーー!?」

口から心臓が飛び出るとはこのことか。
女子トイレの扉の向こうから、千早のプロデューサーが彼女を探しに声をかけたのである。
突然のことに春香はあわてて飛び退き、その勢いのままに尻餅をついた。

「ぷ、プロデューサー!デリカシーがないのも程があります!!」
「いやすまん!すまんが急な用事だ。ちょっと来てくれ!」
「今行きますっ!もう……サイッテー」

そんな悶着のあと、ガタガタという音とともに千早の出て行く音がする。
あたりが静かになっても、春香ははぁはぁと肩を揺らしていた。
(あれ?)
と。あることに気づいた春香はそっと個室の扉を開く。

(や、やっぱり千早ちゃん――流してないっ!!)

いつでも冷静な千早のうっかり――あまりの驚きに、用を足したまま水を流し忘れていた。
千早と入れ替わりに個室に入った春香は、そのまま内鍵を閉めた。
動悸がだんだん速くなっていく。喉が張り付く。
(千早ちゃんのうんち……千早ちゃんのうんち……千早ちゃんの)
立ち上がったままでも、その臭いが鼻についた。

その臭いに誘われるかのように、春香は中断された自慰を再開した。
今や春香の秘部は失禁したのかと思われるほどに潤っている。
ぐちゅぐちゅ音を立ててオナニーにふける春香。
千早の肛門と性器を思い出すたびに絶頂を感じるほどの快感である。
(千早ちゃんのぉ……まんこ……まんこ!まんこ!まんこまんこまんこ!!!)
頭の中で卑猥な言葉をありったけ叫ぶ。
目を下にやればホカホカと湯気を立てんばかりの激臭を放つ糞。

春香は生まれて初めての衝撃を心ゆくまで楽しんだ。

絶頂を終えてぼーっとした頭で、便器を眺める。
と、突然思い出したかのように腹が尿意を訴えた。
(そうだ……私、おしっこに来たんだったっけ)

春香の頭にひらめくよからぬアイデア。さらに興奮を高めるための。
一気に下着をおろすと、千早の作品を流さないままに和式便器にまたがった。
「ふんッ……んんんん」
千早と同じように声を出して力むと、小さな糞がポトポトと落ちる。
大きな一本糞の上に、コロコロと丸い糞がデコレーションされていく。

(うふ……ふふふ)
春香の顔に、妖しい笑顔が浮かんだ。
(ち、千早ちゃんと私の……かん……間接うんち……)
「ふ、ふひひっ、うひひひひっ。うひゃはははははははっ」

――自分でもこれ以下にないって位、最ッッッッ低にキモいと思える笑い声が溢れるのを抑えられない春香だった。



――――――――――――――――――――――――――
さて、時は戻って現在。
(なんか、あの時を思い出したらムラムラきちゃった)
あの時と同じ便器に腰掛けた春香は、思わず股間に手を伸ばして――
だがその瞬間、女子トイレの扉が開く音によって、その手は止められてしまう。
聞き耳を立てると、その人物はちょうと隣の個室に入ったようである。
春香はごくりと生唾を飲んだ。
これではまるで過去の再現をしてくれと言わんばかりの状況。
例の思い出のことで頭がいっぱいの春香はなんの迷いもなく、腰をかがめて壁の下を覗きみた。

…………。
果たしてそこにあったのは尻――ではなく、如月千早の絶対零度の視線だった。
壁一枚を隔てて、同じポーズでのぞき合う少女と少女。カオスが空間を支配していく。
いっしょに数秒固まったまま見つめ合い、千早のほうが先に口を開いた。

「なに、してんの……あんた」
「いえ。別に。ナニモシテマセンヨ」
「私はただ律子さんに、盗撮カメラに気をつけろって言われただけよ」
「わ、わわわわかってるよー!私だって警戒を怠らずデスネ、
「嘘言いなさい!!どうせまた変態みたいなことしてたんでしょっ!!春香!!」

――レコーディング後、春香がどれだけこっぴどく叱られたかは想像に難くない――

※終※

  • 最終更新:2009-12-17 05:36:18

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