ぷちどるいじめ

950 名前: ('A`) [sage] 投稿日: 2010/02/05(金) 22:14:14 0
>>944
今日も我が765プロに朝が来た。
昔は「新しい朝が来た」に続く言葉といえば「希望の朝だ」であったのだが、今、俺は絶望とは言わないまでも非常に憂鬱な気持ちで一杯である。
その元凶は、床を走りまわるこの奇妙な生命体ども。

「ナノッ!」「やー!」「とか!」「ちー!」「くっ!」「かっかー!」「かっかー!」「かっかー!」「かっかー!」「かっかー!」・・・・・・
うわあ!また分裂したのか!律子!りつこー!!

こいつらが何者で、どこから来たのか、それはわれわれの科学力では分からない。なんだかんだで事務所のアイドルたちには馴染んでいるようだが、俺はどうしても好きになれない。
ひょろ長い胴体にもやしのような手足、それと不釣合に異常にでかい頭、そしてポッカリと開いた穴のように、顔の中に一大面積を占める目玉。
これで顔つきがわが社のアイドルに似ていなかったら、核実験の影響で生まれた怪獣の幼体に間違いないと断定していたところだ。
そこで俺は、アイドルたちが長期撮影でまとめて事務所からいなくなるのを待って、こいつらを始末することにした。言い訳?野良猫にでも食われたと言っておけばいいさ。

「おーい、おまえたちー。」
俺以外誰もいなくなった(あの奇形生物共を「誰」で受ける気には、決してならない)部屋中に聞こえるように呼ぶと、最初にやってきたのは、コードネーム:第72号・通名ちひゃーだった。ほう、お前か・・・。
目と目を合せて、しばし考える。
お前、ここのところ精神破壊されたりウンゲロまみれになったり、あんまりいい思いしてなかったな。

そっとちひゃーを抱き上げて、頭を撫でてやる。
鬼の目にも涙という奴だ。おまえの虐待は免除してやろう。他の生物どもを残して部屋を後にし、非常階段で5階にあがる。
見ろよちひゃー、空が青いぜ。

「くっ・・・」
ちひゃーが空を見上げたところで、ポイ、と虚空へ放り出す。小さな体は、俺が見込んだとおり重たい頭を下にして落ちていき、アスファルトに叩きつけられた。
おーおー、盛大に脳漿を撒き散らして。あの分なら苦しみを感じる間もなく、楽に死ねただろう。虐待「は」されなくて良かったな。

事務所に戻ると、コードネーム:ブラジルシンドローム、通名ゆきぽが床に埋まって寝ていた。
雪歩が撮影から帰ってきたら金持ちのスカトロマニアのところへレンタルに出して、床の修繕費を稼いできてもらおう、と心に決める。
ともかく、次のターゲットはこいつで決まりだな。

956 名前: ('A`) [sage] 投稿日: 2010/02/05(金) 23:57:28 0
ゆきぽは寝るとき、自分の頭が埋まるほどのサイズの穴は掘らない。あのバカでかい頭が入るほど掘るのは、さすがに疲れるのだろう。だから、穴の直径は頭より小さくなる。

俺はホームセンターで分厚い合板を買ってきて、それを公園の砂場に敷き、上に寝ているゆきぽを置いておいた。
しばらくして目覚めたゆきぽは、再び穴を掘り始める。合板などお構いなしだ。豆腐に指を突き立てるがごとく、穴が開く。さらに下の砂まで掘り進めて、ちょうど自分の身が入るほどの空間を作る。
そこにひょい、と嵌り込んで、また寝息を立てる。おまえ、ほんと悩みがなさそうだよな。
ゆきぽがよく寝入っていることを確認して、板を持ち上げる。頭が穴から抜けずに宙吊りになる。板をジャングルジムの格子の上に乗せる。
哀れ、打ち首ゆきぽの完成である。打ち首と違うのは、首から下が「まだ今のところは」くっついていることだが。
さすがにこれだけすれば、ゆきぽも起きる。
「きゅー!!」
普段とても大人しく、鳴くこともないゆきぽが大慌てになっている様子が、笑いを誘う。
「きゅうううう!!」
これは一大事とばかり、腕を穴から出して体を押し上げようとするが、足が踏ん張れないものだから体が揺れて手が滑る。
つるっ、と手がかりを失った腕が勢い余って下あごをぶち、さらにその下あごと板との間に挟まり、体の重みで首が引き伸ばされる。セルフ三重苦の完成。滑稽滑稽、じつに滑稽。

それでも、ゆきぽがこの罠から生きて逃れる術はそれしか無い。シャベルは俺が取り上げてしまったので、穴を広げて首を抜くわけにも行かない。
何度も何度も失敗してはそのたびセルフ三重苦を味わって、ようやく良いところまでこぎつけた。もう少しで抜けられそうだ。
しかし、それを見逃す俺ではない。スコップをゆきぽの腕に突き立てる。

「ぎぃびいいいいいいいい!!」
言うなり、落下。そしてアゴが引っかかる。

「も゛!!!」

人間の場合、落下式首吊り台で処刑されると縄が伸びきった瞬間に首の骨が折れ、上手くいけばコロリと死ねる。だが、こいつの場合首が真下に引き伸ばされるのと、異常に体が小さいせいがあって上手く死ねないようだ。
そりゃあ、こんなスタイルで首がヤワだったら日常生活で勝手に首が折れて勝手に死ぬことになる。俺はその方が嬉しかったけどな。
これは死ぬまでに時間がかかりすぎてつまらないかも、と思っていると、ゆきぽは哀願するような目で涙を浮かべてきゅうきゅう鳴き出した。
泣き落としですか。ふむ、それも一興。では。

そっとゆきぽの腰を抱いて、持ち上げてやる。しかし、もう少しで足がかかるというところで手を止め、ニンマリと笑う。
待ち受ける恐ろしい状況にはっと気づいて刹那のうちに青ざめる顔、恐怖におののき震える体、もともと不気味に丸い癖にさらに丸く見開かれる瞳。
いいねえいいねえ、こちとらそれが大好きで鬼畜やっておりますもので。
ぱっと手を放し、あとはニュートンさんに全てをお任せする。
恐怖の中にわずかに残った芥子粒ほどの希望が雲散霧消して、完全な絶望が胸を刺し貫く瞬間の僅かな表情の変化。ああ、俺は幸せだ。こんな素敵なショーが見られるんだから。

「も゛っっっ!!!」

すげえ、まだ死なない。

962 名前: 156 [sage] 投稿日: 2010/02/07(日) 01:52:16 0
じゃあ、こんなのはどうだ。ゆきぽに紙袋をかぶせて、外の状況が分からないようにする。それから、服を脱がせて尻を丸出しにする。
どうやらこの奇形生物、「恥らい」を理解するらしくて、俺が服に手をかけると命がけといった感じで抵抗した。そんなに暴れると、いちばん苦しむのは自分の首だってことくらい、分かりそうなもんだが。
しかしまあ、抵抗して勝てる相手と勝てない相手がいる。ほどなくゆきぽは素っ裸になった。
手で生殖器を押さえてふるふるしてるが、それがいつまで続くかな?
煙草に火をつけると二口三口吸ってから、おもむろにゆきぽの尻に押し当てる。

「ぎーーーー!!」
びくん、と細い体が派手にのけぞる。いつやられるか、その瞬間が分かればまだ少しは耐えられるのだろうが、紙袋のせいで完全なる不意打ちである。対応の余裕はない。
しばらく様子を見て、いつ来るか、今来るかとビクビクしているところを、こんどはお腹に根性焼き。

「ぼお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」
おお、腹から息を出すと、けっこう良い声出るじゃないかゆきぽ。こんど雪歩のボイスレッスンでも試してみるか?

そのあと、場所もタイミングもランダムに何度か根性焼きを仕掛けると、ゆきぽはそのたびに可愛らしく叫んでは身を捩って悶え苦しみ、俺を楽しませてくれた。
ここまでやると喉も限界を迎えたのか呼吸音がヒューヒューと今にも死にそうな音に変わってきた。体はぐったりと垂れて、生気が感じられない。
紙袋を取ってみると、顔はすっかり青白くなり、あごに床ずれができて血が滲み出し、板が真っ赤になっていた。
というか、あごと下頬と首すじにドーナツ型の床ずれができた生物を、俺ははじめて見た。

「よーしゆきぽ、最後のゲームと行こう。お前が勝てば、助けてやるよ」
そう言うと、ゆきぽの両足を束ねてロープを縛り付け、もう一端をコンビニのレジ袋に結わえる。袋の中には砂を詰め、板の上に乗せる。そして、レジ袋の持ち手をゆきぽに握らせる。
袋は大部分が板の上にあるから、衰弱したゆきぽの手でもぎりぎり握っていられる。だが一瞬でも手を離せば、ずり落ちて勢い良く雪歩の足を引き下げることになる。

「その状態で5分生き残れたら、逃がしてやる。ほら、時計だ」
自分の腕時計を外し、針がここまで来たら終了ね、と指で示す。あとは見守るだけ。
既にいつ死んでもおかしくない様子だったゆきぽは、それでも健気に耐え続けた。額に脂汗を浮かべ、途中からは涙を流し、腕をプルプル震わせて耐え続けた。
時計の針は牛歩のようにゆっくりとながら、止まりはせずに進み続け、4分40秒が経過した。あと20秒か、潮時だな。

新しい煙草に火をつけてくわえ、今一度残り時間を確認するように時計を覗き込む。あと10秒。
一秒を一万時間のようにも感じているゆきぽを尻目に、そっと腰を落とす。あと8秒。
狙い澄まして、今まで1度も狙わなかった場所へ、ゆきぽの生殖器へ炎の洗礼。あと7秒。
絹を裂くようなゆきぽの悲鳴が、人気の無い公園に虚しく響く。あと6秒。
はっと気づいたゆきぽが、自分の手元を見やる。レジ袋の持ち手が無い。あと5秒。
ゆきぽの顔が真っ白く染まり、全身を死の恐怖が支配する。目の前をスローモーションで遠ざかっていくレジ袋に、渾身の力を込めて手を伸ばす。
小さな小さな手が何度も虚を掴む。ずるずるとレジ袋は滑り、板から外れるに従って加速度的に速度を増す。あと3秒。
ふわっ、とレジ袋が宙に浮き、そして落下する。ロープが伸びきる一刹那前、ゆきぽは目を血走らせて、これ以上なく怯えた顔をした。俺にとっては、世界のどんな絵画より美しい顔だ。

こきり。体が小さいだけあって、強度は高くても骨自体は小さかったらしい。たいした音はしなかった。記録は4分59秒。惜しくもゲームオーバー。
さっきまで空を切っていた腕がだらしなく垂れ下がり、全身の筋肉が緩んで尿が漏れ出してきた。この分だと糞の方もすぐだな。そうなると処理が面倒だ。
髪の毛をつかんで引き上げ、最初にゆきぽが掘った穴に連れて行く。五分間待っている間に掘り広げたので、今度は全身が難なく埋まる。
ほら、お前がいちばん落ち着く穴の中だよ。永遠におやすみ、ゆきぽ。

964 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/07(日) 19:38:06 0
続いて俺が目をつけたのは、コードネーム:グレムリン。こいつに至っては放射能なんて生ぬるいものじゃない。間違いなく宇宙からの侵略者だ。
コードネーム:チビババァの空間跳躍に比べればまだ少しは「正常」に近いが、物理法則をガン無視して分裂増殖するとなれば、それなんてジョー・ダンテ・・・・・・もとい、それなんて冗談だよとツッコミのひとつも入れたくなる。
とくにこいつ、時折見せる黒い笑顔がじつに悪辣で忌まわしい。普段から、脳天に杭を打ち込んで晒し者にしてカラスに啄ませたいと思っていた。
幸いにして今は分裂していない様子。早速散歩だと偽ってバッグに詰め込み事務所を出る。こいつは日光が嫌いだから、俺が良しと言うまで自分から出てくることはない。
行き先はホームセンターの金庫売り場。コインロッカー程の小さいものから、子どもくらいならすっぽり入ってしまう物まで金庫がいくつも並んでいる。
その中の、いちばん頑丈そうな耐爆耐火金庫にそっとバッグを入れ、隣に紙コップを置いて水を注ぐ。あとはドアを閉めて鍵を掛ける。その音で様子がおかしいと気づいたグレムリンがバッグの中でうごめき、紙コップを倒す。
さあ、ショーの始まりだ。
「はるかっかー?」「かっか!かっか!」「はるかっかーー!!!」
そう大きくない金庫だから、2匹分のスペースにはわずかに足りないはずだが、鳴き声からすると2匹いるように聞こえる。いささか不安になってきた。
耐爆金庫とはいっても、それは外からの爆圧に耐えるという意味だ。まさか耐爆金庫の中に爆弾を入れて爆破するケースまで想定して設計しているとは思えない。強度は足りるだろうか・・・。
程なくして、声の感じが変わってきた。
「ヴぁ~い・・・!ヴぁ~い・・・!」
どうも苦しいらしい。自分で分裂して自分で苦しめば世話はないというもの。
人間の体が圧迫されれば、まず最初に困るのは呼吸困難だろう。肺が圧迫されて息が吸えない。グレムリンの場合はどっちだろう。頭が先に圧迫されそうなもんだなあ。
声はますますかすれて、「ヴぁ・・・・・・ヴぁ・・・・・・」と恐怖を含んだ声になってきた。がたがたと僅かな揺れが、中でグレムリンがのたうちまわろうとしていることを教えている。ついには「ゲー!」と一声強く鳴いたかと思うとすっかり静かになった。
だが、安心はできない。こいつは只者じゃない、と俺の動物的勘が告げている。少し待つと中から喘ぎ声のような末期の呼吸音が聞こえ、今度こそ静かになる。

965 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/07(日) 19:38:54 0
5分ほど待って、そっとドアを開けてみて、俺は軽く失禁した。
グレムリンがチアノーゼを起こし、顔と言わず腕と言わず真っ青になっているのも、血管が浮いて真っ赤に染まった眼球がこちらをぎょろりと睨みつけて静止しているのも、喉から血液混じりの泡が垂れ落ちているのも、
喉を掻きむしったあとがミミズ腫れになっているのも、糞の臭いが鼻をつくのも、全て他愛もない、ごく些細なことに思えるほど、状況は凄まじかった。

本体と思われるグレムリンの脇腹から腰にかけて、左へ向かってもう一匹のグレムリンが「生えて」いた。ちょうど結合双生児という奴に似ている。
しかも、後から生えた方は少しでもスペースがある方へ、つまりは本体の頭側ではなく足側へと向かって、イナバウアーよろしくのけぞり、あおむけになったようだった。
ために背骨といわず肩といわず腕といわず、どうみても奇形と呼ぶに相応しい骨格をしていることが外からでもはっきり見て取れる。頭は金庫の形に沿っていびつにへこみ、左目はほとんど開けられないようだった。
それが本体と同様の窒息症状を呈して、片手で顔を押さえもう片方を喉に食い込ませて硬直している。
これなら冥界に居るという三つ首の猛犬ケルベロスの方がよほど愛らしく健康的であろう。

メデューサに見入られたように体が動かなくなった。予備のバッグは用意していたが、こんなものを中に詰めて家へ持ち帰るなどできるはずもない。
しかしここに残してその場を去れば、グレムリンはそのうち腐るか別の客に見つかるかして警察を呼ばれることになりかねない。
仕方なくできるだけ姿を見ないようにしてバッグに引きずり込み、そっとその場を後にした。

家に帰りつくと、俺はあらかじめ買っておいた特大衣装ケースにグレムリン・・・もとい、グロムリンを放り込んで、ふたを粘着テープでべったりと止めた。
こいつの黒い時の顔(今は黒ではなく真っ青だが)を見たことがあれば、ここまでしてもまた息を吹き返すんじゃないか、というのは感じて当然の不安だと思う。
そしてその不安は現実のものになった。2匹になりきれなかった、1.7匹くらいのグロムリンが同時に唸り声を上げ始めたのである。
こいつら、窒息させても死なないのか?!体じゅうに戦慄が走る。

「ヴぁぁぁぁぁぁぁぁーぃ・・・・・・」
この唸り方は知っている。腹が減っている時の声だ。生命の危険を感じて、本能に一番近い三大欲求のうちの一つが亢進されたというのだろうか。
ふと、良い案が浮かんだ。確かに良い案だが、これ以上におぞましい案も無い。だが、やってみる価値はある。
包丁をガスコンロであぶり、真っ赤に熱して簡易ヒートナイフを作る。これでグロムリンを斬り殺そうというわけではない。あいつなら刃を握って俺から奪い取り、逆に襲いかかってくる、位のことはするだろう。
ヒートナイフを三回、角度を変えてプラスチックのふたに挿し入れ、小さな窓を作った。そこからグロムリンの本体にむけて蜂蜜を垂らす。本体は、何のつもりか分からないが、美味しいから良し、と言わんばかりにぺろぺろと舐め始めた。
が、すぐに表情をこわばらせる。「出来損ない」の方がそれを妬ましそうに見つめてきたからだ。
もともと頭も半分潰れて知能は高そうではなかったが、同族、それもまだ下半身は自分という個体に対しての仲間意識だの群れ意識だのはないらしい。

「ヴぁぁぁぁぁぁぁぁーぃ・・・・・・」
「かっか?!はるかっか!!かっ・・・・・・・があああああああ!!!」
「出来損ない」が本体にかじりつく。庵野に見せたら次回作の使徒はこれで決まりだろう。とはいえ、俺も3秒以上直視できなかったので、本体がどんな死に方をしたかは定かではない。
「出来損ない」の方は失血死だった。自分であって自分ではない体から大量出血して、医学的な意味でのショックを起こして死んだのだろう。
あとは、これにコンクリでも詰めて海に捨てれば悪夢も終わる。俺はほっと一息ついて額の汗をぬぐった。

974 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/08(月) 06:36:42 0
まだ奇形生物どもはたくさん残っている。しかしグロムリンとの戦いは想像以上に俺の精神力をすり減らし、一度はSAN値がゼロ寸前まで急落した。
後の奴らは、ごくあっさり淡白に虐待しよう。
その嚆矢は、コードネーム:妖怪鬼髪、通名やよ。秋までは「もったいないお化け」というコードネームだったが、冬毛のあまりの多さを見て改名した。

やよを石がゴロゴロしている河川敷に連れてくると、持ち込んだ薪を使って焚き火をする。表向きは、いっしょに焼き芋をしよう、ということになっている。
火勢が程よくなった当たりで、ちょっと、ちょっと、とやよを呼んで火から離れる。そして寄ってくるやよの髪にすかさずガソリンをぶっかける。
やよはけっこう馬鹿だ。それでも、自分が今どれだけ火気厳禁な状態かは分かる。

だが、これならどうだ?100円玉を、焚き火の炎の中に投げ込む。
やよは100円玉が俺の手から離れる瞬間、自分の命の次に大切な宝ものが奪われたような顔をしたが、それが実際に炎の中に落ちると、まるで明日世界は滅ぶと神から告げられた力なき人間のような顔をして悲しんだ。
そして、どうしてこんな勿体無いことをするの、と今にも決壊しそうな涙腺を必死に押さえ、半べそのウルウル目で俺の瞳を見つめている。
さすがに100円では動かないか。よし、ではこうだ、と500円玉を投げる。

・・・・・・。

「うっうーーーー!!!」

大苦笑が漏れる。あまりにも哀れで、可哀想で、同情が胸いっぱいに広がって、でもこれ以上なく可笑しい。腹がよじれる。
笑うべきか泣くべきか、それが問題だ。
焚き火に向かって猛ダッシュするやよを見守る。川原の石を投げてなんとか火を消し、中の600円を拾おうと試みるが、上手くいかない。そのうち、近づきすぎて哀れにも着火。
せめて服を脱いで水に浸し、それをかぶせるくらいのことをしたらどうだった。服が勿体無いか。

「う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛っう゛ーーーーーー!!!」
服の炎を手で払い、後ろでぼうぼう燃える髪から走って逃げようとするやよ。
しかし服は払っても払ってもまた燃え上がり、髪は地球の果てまで走り続けたとて、燃え落ちるまでは永遠に頭にぶら下がり続ける。そんなことも分からないほど、やよはパニクっているようだ。
せっかく川があるのだからそこに飛び込んだらどうだ?それともこの寒さでは凍死しかねないことことに気づいているのだろうか。俺は燃えるも一興、凍えるも一興、とどちらに転ぶか楽しみに待ち受けている。

ただでさえ、あのもっさりした髪は空気を含んで燃えやすい。それなのにやよが走れば走るほど、髪は風をはらんで大きくなびき、火勢が強まる。その炎が後頭部を炙り、やよは呻き声をあげながら走り続ける。
やよが陸側に逃げ、辺りに飛び火させることは避けなくてはいけないので、俺は竹竿を持っていっしょに走る。頭を突けば簡単に転倒し、逃亡を阻止できるだろう。
が、俺が手を出すまでもなく、じきにやよいは転倒した。そりゃ、ただでさえ足場の悪い河川敷で火達磨で走ってればねえ。
燃えに燃えて体じゅうが焼け爛れ、意識を失いかけているやよに、俺は同じくらい真っ黒く焼けた600円を手渡した。
「おまえの命の値段だよ。三途の川の渡し賃に使うといい。昔は六文で渡れたらしいから、600円も出せばファーストクラスに乗れるだろうさ」

手袋をして、ぼろ布のようになったやよを川に放り込む。ここには渡し船があるわけでもなく、やよは浮きつ沈みつ流されていった。

986 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/09(火) 01:03:41 0
やよの処刑は思ったより長くなった。
次はまこちー。こいつにコードネームがついていないのは、なんか特徴がなくて思いつかなかったからである。
処刑も手っ取り早く行く。体を鍛えることが好きな奴なので、電動ルームランナーを当てがってやったら大いに喜んだ。
そこで、両手首をそれぞれロープで縛り、反対側を左右の手すりに結わえる。グリコのポーズで拘束してやったわけだ。
つづいてルームランナーの速度を、まこちーが走れる限界くらいに設定した。これまた、あとは見守るだけ。
そして待望の瞬間は存外早くやってきた。まこちー転倒。すると両手が支点になって前にぶっ倒れ、滑り止めのためにでこぼこザラザラに加工されている可動面がベルトサンダーよろしくまこちーの額を研磨する。

「み゛ゃぎょおおおおおおおお!!!」
悲鳴を上げながらも足をじたばたさせて起き上がろうとするが、手が釣り上げられている上に頭が異常に重いから、それも叶わない。延々と額がゴリゴリゴリゴリ・・・。

俺はランニングマシーンを止めた。

何か違う。こんなものは俺が望んだ結末ではない。まこちーを立たせてやって、血が滲んだ額に消毒薬を塗ってやる。
薬がしみたのかまこちーはビクっと震えたが、すぐほっとした表情を見せた。
そこで再びスイッチオン。ただし今度は、ランニングマシーンをまこちーが歩く速度くらいに設定した。当然まこちーは普通に歩ける。だがすぐにこの罠がいかにえげつないかに気づいて慄然とした様子。
たしかに今は歩ける。だが、いつまでそれができる?丸2日、丸3日と歩き続けられるか?それはできない。いつか疲労が溜まって、足が動かなくなる時が来る。
自分はその瞬間に向かって、自分の破滅に向かって自分の足で歩かされている。限界を迎えて足を止めた瞬間、今まさに自分が歩いているこの速度で顔を削られる。延々と、延々と・・・。
さらに悪いことには、先程は走ることに必死だったのに対して、今はまだ物事を考える余裕がある。だからこうして、限界を迎えた後のことをつい考えてしまう。一歩足を進める度に、今自分は破滅に一歩近づいたのだと意識してしまう。
10歩歩けば10歩分、100歩歩けば100歩分の恐怖が、静かにまこちーの上に積み重なる。さて、いつまで耐えられるかな?
俺はにっこりと笑い、部屋を後にした。中からは絶え間なくまこちーのすすり泣くような鳴き声がしていたが、それも次第に聞こえなくなった。

1日経って、気付かれないようにそっと中を覗くと、既にまこちーは倒れていた。
顔も額もひどく爛れていて見る影もなかったが、体にはなんとか逃れようとしてのたうち回った形跡がなく、まこちーの体力にしては破滅までが異様に短いのも気になった。

俺はいろいろ考え、きっとまこちーは体の前に精神が壊れて倒れたのだろう、と結論づけた。
その瞬間、まこちーは何を考えたのだろう。恐怖に泣いたのだろうか。それともこの責め苦がやっと終わることに喜んで笑ったのだろうか。
精神が壊れるときの音、というものがあるなら、まこちーの心は最後にどんな音を立てたのだろう。
その音、ぜひ聞きたかったなあ。やれやれ残念、と俺は魂を2度も失った骸をコンクリ待ちの衣装ケースに放り込んだ。



15 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/11(木) 08:15:20 0
つづいてコードネーム:毛虫2号、通名あふぅ。毛虫1号はもちろん星井美希である。
ただ、こいつは夏になると毛虫ではなくなる。試しに、眠っている毛虫2号の髪を乱暴に切ってみる。さすがに怒るだろうか・・・。

「はにぃ!!」
うわ、飛び起きた!しかも鳴き声が変わった。こいつ、季節ではなく髪の長さに依存して発情するのか。オタマジャクシの尻尾を切断するとカエルに変化する、というようなものだ。不気味な生物である。
はにぃはにぃと喜んで足に擦りつく毛虫2号あらためビッチをそのままにして、炊飯器を開けると手早くおにぎりを握る。ビッチに食わせてやるためだ。
ただし具は縫い針である。

袖に刺しておいたものを気付かれないよう抜き取り、三角に形作った米の中に滑り込ませて、そっと海苔を巻いてビッチに食わせる。
「はにぃ」が握ってくれた大好物のおにぎり、すっごく嬉しいの、とばかり食いついて・・・そして吐き出す。白黒のおにぎりが赤く染まっている。
「は・・・・・・に、ぃ・・・・・・・・・・・・?」
信じていた存在に裏切られたのがそんなに悲しいか。大丈夫、今すぐ悲しさも悔しさも、それどころか感情を一切感じずに済む場所へ送ってやるから。
針を取って、早く取ってと口を開けて中を指さすあふぅ。誰がそんな不気味な口の中に手を入れるか。代わりにこれを食らえ。

ぶすり、とあふぅの喉奥に錐が突き込まれる。

「ゲーーー!!」
まだ死なないか。このっ!このっ!
どうも、死ぬまでには時間がかかりそうだ。
そんな時、ふと思い出す。

「なあ、以前お前と同じように『ナノッ!』が口癖のアニメキャラが居てなあ・・・」
「・・・?」
「アンチからはずいぶん嫌われて、虐待AAがたくさん作られたものだよ。」
そう・・・確かあれはこんな感じのAAを改変したもので・・・。

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        , ヘ〈_ト、.   |/l/ハ ゝ‐'`,r=='  .   '==ュ l/イ_/_ _ __ ,.ィ^Y⌒)
        〈 , ィ7:7ゝ、, -‐_丿::L , , , , r──┐ , , , , /::::::.::7::.:_/::::ヽ Yソ
      6〉7/:/   \_〔三二ニヽ   |.:.:.:.:.:.:.:|     !二三〕'´  `ヾ::|  !}
       {j |::|       \〔二ニ〕   ヽ.:.:.:.:ノ    ,イニ二〕      |::|  |}
         {j |::|        `Z7二ニヽ、_,r ニニ二7Z弐7.       !::!  !}
        ,{j |::|           |厂 ̄\只/ ̄ ̄了        |::|  !}
       fj」::|             | |   ,イXト、    | |            |::| 」}
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                    /         |」   |」      ',
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                 /_∠_     ̄ ̄     _ ヽ..ハ
         -─メシンミミラゝ;:;:;:;;;ヽ __人 __ ノ;:;:;:;)ミミミメメハ、─-
          (゙;゙;゙;゙;゙;゙)三ヽヾ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:/ミソソシソソミミ
16 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/11(木) 08:24:32 0
食器棚からフォークとナイフを取ってくる。
大きく振りかぶり、あふぅの脳天に突き立てる。


「そうだ!まさにこんな感じだった!」

        \\     /.:.:.:.:::::::::::::::::::::\_/::::::::::::::::::::.:.:.ヽ.  /::/
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            |\::\  丁イ /,ィ´ ̄`ー一'´ ̄`ヽ"\厂 /::/
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               ,イ// l    i」, -‐ト、  /Nー- /、 |:.l|   | \  
          _/ ̄ | |/ゝ'、 ,イ./'! | `",'' ⌒ヽ.`l/:/ / / ̄` \  
        , ヘy_ト、.   |/l/ハ ゝ‐'::{ ゙◎' j  .  { ◎ ュl /イ/_ _ __ ,.ィ^Y⌒)
        〈 , ィ7:7ゝ、, -‐_丿::L  ,`ー'"r──ヽ , , ノ ,/::::::.::7::_/:::ヽ Yソ
       7/:/   \_〔三二ニヽ   .|.:.:.u:.:.:.|     !二三〕'´ `ヾ::|  !}
       {j |::|       \〔二ニ〕   ヽ.:.:.::ノ┃  ,イニ二〕      |::|  |}
         {j |::|        `Z7二ニヽ、_, ..┃ 二7Z弐7       !::!  !}
        ,{j |::|           |厂 ̄\只/ ̄ ̄了        |::|  !}
       fj」::|             | |   ,イXト、    | |            |::| 」}
         ̄`ー- 、       \_// ⌒ヽ\_ /      , -‐'´ ̄
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なんだか懐かしいなあ。ともかくこれであふぅも片付いた。
こいつの発情期の顔は無性にむかつくので、足で念入りに踏みつけてぐちゃぐちゃにしておいた。


17 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/11(木) 08:25:59 0
続きましてはこあみとこまみ。
こいつら、けっこう仲がいい。亜美真美並みの姉妹愛があるか、試してみよう。
やよを焼き捨てた河原に口の開いたドラム缶を立て、中に石を入れて重しにする。側面には、底から3、40cmくらいの高さに、一列に穴をあける。
この中にたっぷりと灯油を注いで火をつけると、上昇気流によって側面の穴から空気が吹き込み、よく燃えるようになる。その炎が新たな上昇気流を作り、燃焼サイクルが持続する。
ドラム缶が熱されてくると、缶に接している灯油液面の外周部分からより大量の気化が起こり、穴から吹き込む風によって空気と混合され、中央ヘ向けて燃えながら寄り集まる。
簡易的な灯油ストーブだ。
こあみとこまみの方は、互いの手首を針金でつなぎ、大きな輪を作っておいた。大きな、といっても、ドラム缶の直径より少し大きい程度。
聡明な鬼畜の皆様はもうお分かりだろう。二匹をドラム缶ストーブにはまった輪投げの輪のごとく配置し、炙り焼きにするのだ。

当初、2匹は寒くてたまらないものだから、自分からドラム缶ストーブにへばりついてぬくぬくしていた。だがすぐに缶は快適な温度を超える。
そろそろ離れようかと立ち上がり、さらに熱くなったので遠ざかろうとすると、腕ががくんと引き戻される。
「とか?」「ちー?」

状況が理解出来ないか?じゃあ、これで分かるだろう。こあみ、こあみ、こっちへおいで。
「とかー!」
とてててて、と短い足で走ってやって来・・・・・・ようとする。ところが道半ばで缶の向こうから「ちぃぃいっ!!」と悲鳴。そして来た時以上の速度で引き戻され、「とがぁぁあっ!!」。
これで1回づつだな。当然2匹とも手首に火傷を負ったかと思いきや、のみならず後頭部も同時に3点同時やけど。ほんと器用だなこの体、と感心やら哀れみやら脱力感やら、いろいろ混じった嘆息を漏らす。
火勢が強まりすぎると、簡単に干からびてしまって面白くない。缶に少し隙間を残してトタン板をかぶせ、燃え具合を調整する。
2匹はなんとか後ろから襲い来る熱波から逃れられないかと、ドラム缶の周りをぐるぐる回ってみたり、ひたすら外へ逃げようとしたり、必死の抵抗を続ける。
だがそのたびにどちらかが缶に接触し、悲鳴を上げては反射的に全力で逃げ、相方を缶に押し付ける事になる。
ようやく、馬鹿なこいつらにも2匹でぴったり等距離を取ってじっとしているのが最悪中の最善ということが分かってきた。
俺が火勢を弱めてやったおかげで、離れていればまだなんとか耐えられるようだ。
だが、耐えられるといっても熱いことには変りない。なんとか1mmでも遠くへ逃れたい。互いに、じり・・・じり・・・と移動していき、針金が張り詰めて行く。

「とか?とかー?!」「ちぃ、ちぃ?ちいいい!!」

「こまみ、ズルして自分ばっか離れてないよね?!」「こまみがズルっこ?冗談じゃないよ!!こあみこそズルしてるんでしょ!!」
アテレコするならこんなところか。浅ましいなあ。
2匹は大声で言い争いをしている。最初は観客席から闘鶏を眺めているギャンブラーの気分だったが、そのうちこいつらのキンキンする鳴き声に嫌気がさしてきた。
奇形生物の分際で偉大なる人間様を、それもこの俺を不快にした罪は重いのだ。それ。

角材の先端に釘を打ち付けた「引っ掛け棒」を取り出し、それでこあみ側の針金を軽く引っ張ってやる。こまみにはもちろんその様子は見えない。
「ち?!ちいいいいいいい!!!」
ドラム缶に接触しこそしなかったが、こまみが「こあみはついに自分を見捨てて、一人だけ助かる気だ」と認識するには十分だった。
そう安々と焼かれるくらいなら、お前の方を焼いてやる。こまみ怒りの全力疾走。
こあみは必死で、自分ではない、この人間が悪いんだと言い訳しているようだが、命の危険を感じて興奮しているこまみの耳には届かない。
そうなるとこあみだってうかうかしてはいない。大地を踏みしめ、踏ん張ってこまみに抵抗し、さらに引きずり返そうとする。
たった2匹の大運動会。種目は綱引き。賞品は自分の命。素晴らしい!最高のショーだと思わんかね!


18 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/11(木) 08:33:07 0
しかしそうしている間にも熱波は容赦なく2匹の体力を奪う。脱水症状も合わさって、2匹の目が生気を失い始め、針金を引く力も鈍る。
おいおい、勝負はまだこれからだぜ。仕方ない。給水タイムと行くか。
紙コップにスポーツドリンクを注いで、ちょうど2匹両方に見える場所で美味そうに飲む。2匹が12時と6時だとすれば俺は3時の位置だ。
2匹が怨嗟のあまり呪いか祟りでも噴出しそうな目をこちらに向けてきたところで、紙コップに2杯目を注ぎ、2匹の方へ差し出す。
綱引き第2ラウンド、開戦。2匹とも目を血走らせて猛然と綱を引く。
俺の方へ向かってくるものだから、3時側の針金は緩むが反対側が張り詰める。
こあみの右手とこまみの左手が同時にドラム缶に接触し、肉が焼ける臭いが漂う。だがそんなことはお構いなし。そのうち、こまみがついにコケた。
こあみがズルズルとこまみを引きずって俺のところへ来る。

「おめでとう。はい賞品。」
何の嫌がらせもせずに、スポーツドリンクを飲ませてやる。そう簡単に干からびられては困るからね。
後ろではこまみが火の付いたように・・・というか実際、火の燃え盛るドラム缶にくっ付いているのだけれど、断末魔を上げて身悶え続けているわけだが、それはもう無視かこあみよ。
可哀相だなあこまみは。よし、手助けだ。こあみがドリンクを飲み終えると、今度は引っ掛け棒でこまみ側の針金を引っ張り、火から遠ざける。
背中と缶の間にキッチン用油はねガードのアルミフードを入れて放射熱を遮り、スポーツドリンクも十分飲ませてやる。
大やけどの時に水を飲ませると死ぬというが、どうせ長くはないのだし、スポーツドリンクなら電解質もいっしょに摂れるから真水よりも長く持つだろう。それで十分。
こあみが卑怯だと怒りだした。
やかましいな、お前なんかこうだ、とさらにこまみ側を引っ張って、こまみと同じ程度にぐったりするまでこあみも焼く。
さあ、勝負も大詰め、最後の対決はハイハイ綱引きだ。恐らくこれで負けた方が先に死ぬ。俺が釣り用の折りたたみ椅子に座って眺めていると、勝負は完全に五分と五分、
引いては引かれの攻防を延々と繰り返していたが、なんとこまみが試合放棄した。


19 名前: ぷちどるいじめ [sage] 投稿日: 2010/02/11(木) 08:34:37 0
「ちぃ・・・」と一声力なく鳴き、涙を一粒落とすと、まだ動くはずの手足をがっくりと折ってこあみが引くに任せてしまった。さっきのやけどが効いたかなあ。
あとは、こあみが一方的に引っ張るにしたがってこまみの体はドラム缶にへばりつき、空気を震わせて断末魔の叫びが響く。それでも声はみるみるか細くなり、そして消えた。
勝負あり、か。心底ほっとした表情のこあみ。
そこで、片方の針金をニッパで切り、輪投げの棒から救い出してやる。しかし、今まで丸い輪だったものを8の字にしてつなぎ直し、こあみがこまみの背中を見る形にする。
こあみが真っ青になって震えだし、尿まで漏らしたのも無理はない。こまみの背中は、ドラム缶との接触面が真っ黒く焼け爛れて干からびた地面のように裂け、中から赤黒い肉が見えている。
そこまでひどくない部位もどす黒い青に染まっていたりケロイドができていたり。
表皮を失った肌からはごく薄い琥珀色の滲出液がたらたらと流れて光を反射して輝いている。およそ直視できる光景ではない。

「こいつ、途中から引くのやめたっけなあ。もしかして、お前を助けようとしたのかな?」
「とか?!」
「お前が熱くないように、って自分からドラム缶にくっついたのかな?」
「・・・・・・・か!!」
「可哀想になあ、お前があんなに引っ張るから、お前のせいでこんな事になっちゃったぞ」
そう言いながら、引っ張り棒を8の字の交差点に絡めてねじり、こあみの腕をこまみの背中へと引き付ける。
「―――っ!―――――っ!!」
こあみが酸欠の金魚のように口をパクパクさせて声にならない叫びを発しているが、そんなものは無視。
固く目をつぶり、顔を背けているけれど、焼けた肉の香ばしい香り、滲出液の魚臭いにおいまで気づかないふりはできないだろう、こあみ?
「お前、薄情だぞ?こいつの死に顔くらいは、ちゃんと見てやれっての。」
こまみの異常に頑丈な首を、力任せにゴキリと捻って後ろを向ける。平将門ってのは、きっとこんな感じの顔をして晒されたんだろうなあ。
元が人をおちょくったように緩い顔つきだから、なおさら壮絶だ。遠くからでも一目見れば、一週間は夢に見るだろう。
こあみは口から泡を吹いてワタワタしている。

「こあみ、お前はもう自由だ。好きなところへ行くといい。けど、ちゃんと片割れを連れていけよ」
軍手をはめてドラム缶の上のトタン板を外し、火勢をどんどん強める。
ただでさえやけどで死にかけのこあみが、この熱波にさらされながらこまみを引きずって得ることのできる自由。それは自分の死に場所を半径数メートル未満の範囲で決める自由だけだ。
ところが、こあみはその場で動かなくなった。ごめんね、ごめんねとこまみに語りかけているかのように泣いている。どうやらここで共に最期の時を待つ気になったらしい。
なに、安心しろ。死んだら針金をつけたまま、つまり愛しの片割れとつながったまま、やよが待ってる川に送ってやる。せいぜい三匹で仲良くするといい。


奇形生物はまだ何匹か残っているが、それは別のプロデューサーに任せることにした。
ただ殺すのはつまらないが、残りの奴らには面白い案が浮かばないからである。



  • 最終更新:2012-12-29 15:54:41

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